親子の深い情愛を綴るメッセージ・・・、娘から父へ、そして、父から娘へ。
私が入社して4年目位だったと思います。
新婦家は、お母様を亡くされていてお父様の男手一つで娘を育てて来られました。新郎家のお父様も息子の結婚式を楽しみにしているのが、ありありと伝わってくるくらいで、「聞きたいことがある!」とのことで幾度となく呼ばれることが多く、その都度お父様が息子の結婚式にかける愛情が私に伝わり、大変というよりも、むしろ、ほほえましかったことを記憶しています。
当日は、地域の風習でお仏壇参りというものがありました。息子の結婚式を心から楽しみにしている新郎のお父様ですから、お知り合いの民謡団体の方々にお願いされ、新郎新婦が玄関を出る時「長持ち唄」という謡に見送られながら家を後にするという演出まで行われました。
新郎家は旧家ということもあり、100名以上の披露宴でした。
とかく大人数のご披露宴ですと、お客様の移動だけでも何分もかかるくらいなので、長時間に及ぶことは心配していたのですが、開始も遅れ、更に披露宴時間もなんと4時間に及ぶご披露宴でした。
しかし、内容はどれもこれも非常に濃いもので、特にクライマックスでは定番の「新婦より感謝のメッセージ」。お父様の目の前でメッセージを読み上げられた新婦。お父様は歯を食い縛って新婦のメッセージを聴いておられました。
これも感動的で良かったのですが、なんとお父様からも新婦に宛てたメッセージが披露されました。新婦に対する想いは止むことは無いのでしょう。
「4時間披露宴になったのはこのせい?」と言うくらいの長文でしたが、会場がまるで水を打ったかのように一体となっていて、親子の深い愛情を綴るメッセージに聞き入っていました。
私も思わずもらい泣きしてしまうくらいの光景で、それは感動的でした。きっとお母様を亡くされて、より深い親子の情愛が生まれたことなのでしょう。